前作「NASTY CHILDREN」から約4年4ヶ月ぶり。
その間に「RARE TRACKS」なんてのもあったし、ライブDVDのリリースもあったけど、実態は完全に休養、休止していた時代となります。
やはりアルバムをリリースしないと盛り上がりません。アルバム発売しないと、全国のファンは遠のいていきます。うちみたいに田舎は特にそうです。
1995.4.21リリース。
当時自分は24歳。このアルバムを待ち侘びていました。リリース特典のマッチなんか貰ったな(笑)その絵柄が蘭丸だったんでラッキーなんて思っていた。
そしてCDを安物ラジカセに載せた瞬間!!!…………
なにこれ?
一聴してリピートなない…
そんな気分にさせられました。
当時の自分の感情はそうでした。
28年経った今でも、その感覚は残っています。
なんやねん!このアルバムは!あんなに期待したのになあ…
こりゃあんまり聴かへんなと。
1995年は、洋楽ではオアシスとかブラーが全盛期でした。
洋楽にハマっていたけど、英国から若手バンドを続々とクローズアップされていた時代。
日本では、ミスチルが「Tomorrow never knows」、スピッツは「ロビンソン」、布袋寅泰が「POISON」、JUDY AND MARYが「OVER DRIVE」
ミリオンヒットが連発で、CD売上げが最盛期だったと思います。
そんな環境で、スライダーズも期待はされていたと思うんですが、このアルバムです。
実際どれだけ売れたかは知りませんが、この作風を受け入れる時代ではありませんでした。
で、このアルバムの良さが分かったのは随分と後になってから。
解散ライブ後に改めて聴くようになってからです。
当時は良さが理解できませんでした。すんません。
01. WAVE ’95
02. BABY BLUE
03. WASTIN’ TIME
04. 聖者のラプソディー
05. どしゃ振り雨に洗われて
06. D.D.DANCE
07. FEEL SO SAD
08. 日暮し
09. WHERE DO I GO
10. 陽炎の道
こんな事を書くと駄作と読んでしまいますよね。
いやいや全くそんな事はありません。
ただし取っ付きやすい作品ではありません。
4年以上も空いていたからと言って、傑作が生まれる事はないです。
もう、やはり重すぎた腰を無理やり起こした感じはあります、正直にいって。
「WHERE DO I GO」 村越宏明
来る日も来る日も日照り続きさ
雨さえ降らない街で
誰もかれも音をあげるほど
同じ仕事を繰り返す
思わぬところで嵐に見舞われ
何もかもさらわれそうさ
誰もかれも音をあげるほど
流された分だけ泳いでいる
ストーンズの「Hot Stuff」を思わすリフで始まる、めちゃ格好いい作品です。
けれどサウンドも良いんだけれど、この歌詞の深さがハリーのこの頃の心境なのかと。
作詞作曲はjoy-popsだから実際は分かんないけど、この詩はハリーやと思います。
新作リリースが4年ぶりなのに、この地味で深みのあるサウンドが出てきた時、レコード会社はどう思ったんだろうか。
上記に記したミュージシャンがよりキャッチーで心地いいサウンドの作品を連発し、ミリオン連発な音楽需要が高まる日本。
完全にスライダーズはそのラインから外れており、彼ら自身もそこに追いつけ追い越せなんて気はさらさらなかったと思う。
しかしこの2023年の現代では、その姿勢が見直されて復活劇になったのではないか?
そうすら勝手に思ってしまう作品を1995年にリリースしていました。
すでに疲弊していたのか、作品を書き続ける意欲やバンドを継続させる活力があったのかわからないけれど、投げやりで抱えた仕事をこなしただけって感じではありません。
そうです。過去のアウトテイクスを集めた作品って感じでもないと思うんですよ。
ストーンズで言えば「Tatoo You」みたいなね。
彼ららしく、忠実で真摯的で、スライダーズの今の音をしっかりと届けてくれました。
もう今となっては感謝感激な作品になっています。
この作品がなければ次回作には続かなかったし、彼らのキャリアでも重要な作品である事は間違いないと思います。
ただ何度も言うけれど、一般向けな作品でもないし、新規のユーザーを取り入れる気はさらさらない作品です。
過去のファンすら離れていく可能性を秘めた作品でした。
この私ですら、「何これ?」と一聴して感じた作品です。
1曲めの
「Wave 95」
何か始めよう、新しいこと…
この歌詞の意味は、4年4ヶ月ぶりのリリースだからこそ生きた言葉なんだけれど、曲調は深いベースとドラムから始まります。
この1曲目が当時の音楽業界の雰囲気と合わなかったんですよね。
そう、私も合いませんでした。
私も24歳でサラリーマン成り立てでした。毎晩、飲み歩いてワイワイやっていた時代。
カラオケにいってもスライダーズの曲は歌わないですよね。
あ〜、サラリーマン時代を謳歌していた?けどそれなりに友達も多くいたし楽しんでいたよな。
そんな環境で聴いたこの作品。
今になって聴くと、ピタッとまで言わないけれど、近づいてきている感じがするんですよね。
もう、如何に自分の今の感性がハリーの感性と程遠いか気付かされてしまいます。
そして彼らは最終地点に向かいます。
夜ごと悩ましい街で、最終楽章を奏でます。
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