前作の「SCREW DRIVER」で、すでに完成系に達していたバンドは約2年ぶりのアルバムをリリース。
1990.12.21発売。
01. COME OUT ON THE RUN
02. CANCEL
03. IT’S ALRIGHT BABY
04. FRIENDS
05. LOVE YOU DARLIN’
06. THE LONGEST NIGHT
07. ROCKN’ROLL SISTER
08. 安物ワイン
09. PANORAMA
10. DON’T WAIT TOO LONG
デビューから1年ごとにリリースしていた彼らが、少し時間を置いたアルバム。
レコード期からCD期に移り変わり、レコーディング方法も変わっただろうし、1曲を作る感覚も変わってきたと思います。
前作まではアナログと併用して発売されてきたけれど、今作からはCDオンリー。
当時、CDは約70分以上を収めることも出来る新媒体。
この90年代前後からアーティスト側もアルバムを作る姿勢が変わってきた気がします。
以前のブログにも書いたけど、私の音楽の聴き方は「SCREW DRIVER」まで、アナログをカセットテープにダビングして聴いていました。
当時のアルバムは46分テープに収まる曲の長さが、全体のコンセプトとしてありました。
これはどのアーティストもそうです。
アルバム製作はアナログレコードのA面・B面を意識した作品が中心になっていました。
片面20分ちょいで5曲までに絞る。4分×5曲=20分。こんな感じでアルバムのストーリーを作っていたと思います。
しかし今作からはCDメインのアルバム作成が行われています。曲自体は全10曲ですが、1曲あたりの曲が少しだけ長くなってきています。
ギリ46分内に収まりますが、次回作より50分以上の作品に変わってきました。
ここら辺に彼らの心境の変化があったかのかは分かりません。
CDは一気に聴かせる媒体です。
CDになると1枚のアルバムに15曲ぐらい収めるのが、一般的なアルバム製作のスタンダートになりますが、スライダーズは10曲までに絞っています。
もう70分以上とか15曲も入っている作品って疲れますよね。
アルバム全体を聴き通すのに1時間以上を掛けて聴くことになります。
集中力が必要になるし、ちょっとダレてきます。
スライダーズは最後まで頑なに?いや、曲が揃わなかった?理由は分かんないけど、最後まで10曲で締めておりました。
「NASTY CHILDREN」
スライダーズが完全に黄金期から、一歩一退いた作品になっています。
誤解のないように言いますが、アーティストとして後退した訳ではありません。
前作で完成した形をどう発展させるか?結論は発展できなかった作品です。
だからゴリゴリなロックナンバー達が、よりリラックスした作品に仕上がっています。
ルーズという言葉がバッチリとハマります。
無理がないし、押しつげがましさは皆無です。
この作品には「Easy Action」のような作品はないし、「Boys Jamp The midnight」もありません。
スライダーズを新たに聴きたい新規ユーザー向けでは無くなってきています。
もう新規開拓する気はここには無くなってきていたのかとさえ思います。
着いてくれるファンだけ来て。
スライダーズは、無理しないし今までと同じだから。
ん?新しい取り組み?ちょっとしんどくなってきた。
多分、ハリーの気持ちを勝手に想像するとこんな感じだったのかも。
だから土屋公平は不満と不安が募っていったのかも知れない。
けどハリーはこのままで良かった。
「夢遊病」にあった
今はこれでいいさ
そんな気分だったのか。
アルバムの最後を飾る名曲
「DON’T WAIT TOO LONG」
スライダーズの中では地味な曲だし、ベスト盤からも外される曲ではある。
私はいつもiTunesで曲の管理をしているんだけれど、スライダーズの中で再生回数が一番多いのがこの曲です。
200回以上再生していました。
意外でしょ(笑)
この今日の雰囲気が大好きです。
なぜベストにも入れないのよ!沢山の方に聴いて欲しい作品です。
あ、話がそれました(笑)
嫁さんと付き合っていた時、帰りのバスの中でひとりこの曲を聴いていた。
なんでやろ? DON’T WAIT TOO LONGを訳すと
あまり待たせんなよ!
あまり当時の心境と関係ないけれど、自分としてはこの曲が持つ雰囲気がたまらなく好きで再生回数を増やしたのだと思います。
スライダーズは終わらない。
そう感じて… いやそんな気持ちはなかったな。
1990年でバブル真っ只中な時代でした。
モノで溢れていて、日本中は好景気な時代です。
今と比べ物にならないぐらい、アーティストがどんどんデビューしてきました。
聴く媒体もレコードからCDに代わり、レコード屋さんからCD屋さんに変わってきました。
大型CD店が海外から進出してきました。
本屋に立ち寄れば音楽雑誌が溢れている。
ローリング・ストーンズも初来日しました。
海外の大物ミュージシャンも続々と来日し日本中が活気に満ち溢れていました。
そんな中で、スライダーズは一区切り付けようとしていました。
正確に言えば、一休みしようとしていました。
この作品から次回作まで4年もの時を待たされます。
終焉を迎えるバンドが最後まで、リラックスすることを忘れずただただロックンロールをしたいだけのアルバムをリリースしてくれます。
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